校正会社のつぶやき|2. 人の目と機械の目

第二回 人の目と機械の目

 校正・校閲をする手段には色々ありますが、

 現在、校正の現場では「人の目」と「機械の目」が使われています。

 

「人の目」とは、そのまま、人が直接文章を読むやり方

「機械の目」とは、アプリケーションやソフトを利用したやり方です。

 

  • 人の目が得意とする部分

 

 経験豊富な校正者による校正・校閲では、幅広い「常識」や「基準」に従って、さまざまな誤りに気付くことができます。

 特に、専門知識を必要とする場面や、言い回しの自然さや文脈的な正誤や視覚的に不揃いなレイアウト、全体の整合性の確認やファクトチェックなどは、どんなに校正を自動化しても、人の力を必要とする部分と言えるでしょう。

 

  • 機械の目が得意とする部分

 ここで言う「機械の目」とは、主に文章校正ソフトであるJustRight! や、あおり照合ソフトであるProof Checker Pro、あるいはAdobeやExcel等、各種ソフトの検索機能などを指します。

 たとえばJustRight!は設定された条件に基づき、それに合うもの・合わないものを見つけたり、訂正候補を出したりすることができ、Proof Checker Pro では、編集前後での誌面の変更箇所を洗い出す、アオリ照合を行えます。

 下記のような、人力でやっていると時間のかかる単一の作業は、これらのツールを活用することで高速化・正確化できます。

  • 表記ゆれの検索
  • 簡易的な誤字脱字チェック
  • 単語などの表記ルールに基づいた校正
  • ページ量の多い媒体の、編集前後のPDF照合

(指示なく変更されている箇所を見つけるなど) など

 

  • 人の目が苦手とする部分

 人の目にとって苦手な場面を挙げるとすれば、単調かつ膨大な作業や、データ全体を検索する場合でしょうか。

 たとえば表記のゆれがあまりに多量にある場合などに見落としが発生しやすくなりますし、全ページにわたり一つひとつ、細かな要素を探す必要がある場合などは、とても時間がかかってしまうでしょう。

 

  • 機械の目が苦手とする部分

 現状、機械の目には、できることとできないことがはっきりと分かれています。レイアウトの違和感や同じ文の繰り返し、ダミーの残存など、多種多様な誤りを一手に担って探せるソフトは、今のところ存在しません。

 ソフトを扱う際も、表記ルール辞書を作成したり、ソフトで認識しやすい形に校正用データを編集するなど、準備が必要なことがあります。ただしそれは、一度媒体にあわせて設定を作れば、次の機会にも活かすことができるという強みにもなり得ます。

 また、機械の目は「例外」を除外することが苦手で、基本的に指摘を出し過ぎる傾向があります。そうしたとき、チェック項目や結果を取捨選択するのはソフトを使う人間です。

 

  • 「両の目で見る」校正

 ここまで、機械の目と人の目を敢えて分けてお話ししましたが、デジタル校正が当たり前になったいま、ふたつは切っても切れない関係にあります。

 人の目を一切通らない校正も、機械の目を一切要さない校正も、ほとんどありません。それぞれの長短を把握し、場合によって使い分けたり併用していくことで、校正にかかるコスト(時間、人、リスク)を下げられます。

 

 弊社では、両方の校正方法に通じたディレクターが、媒体によって最適な作業方法を見極め、考え、ふたつの「目」を使い分けています。

 一見面倒くさい校正内容でも、一度弊社にご相談ください。

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